2026年8月26日、Neo Analog Lab はエストニアの Vintage Visual OÜ と正規取扱店契約を締結しました。同社が設計・製造する自動フィルム現像機 AGO Film Processor と、その周辺機材を日本国内向けにお取り扱いします。

温度を追い込むのではなく、時間で補正する
カラーの自家現像が難しいと言われる理由は、ほとんどが温度です。C-41 は 38℃、E-6 はさらに厳しい。恒温槽で湯煎し、温度計を睨みながら、下がった分だけ時間を足す。この計算を暗い部屋で、しかも薬液を注いだ後にやることになります。
AGO Film Processor は、この関係をひっくり返した現像機です。温度を一定に保とうとするのではなく、処理中の液温をモニターして、ズレた分だけ現像時間を自動で補正する(Active Time-Compensation)。使う側がやることは、薬品をだいたいの温度まで温めて、プログラムを選んで、スタートを押すだけになります。
温度制御をやめたことで、本体は驚くほど小さくなりました。バッテリーは連続 4〜5 時間、充電は USB-C。キッチンでも、洗面所でも、旅先でも動きます。

Paterson のタンクが、そのまま自動現像機になる
AGO は専用タンクを持ちません。世界中の暗室にある Paterson Super System 4 のタンクを、そのまま咥えて回します。
- ロータリー(横回転) — タンクを寝かせて転がす方式。手放しで最後まで進みます。
- スティック(縦撹拌) — 従来どおり中心軸を回す方式。連続撹拌を嫌う薬品にも対応できます。
ひとつ知っておいてください。時間補正が働くのはロータリーのときだけです。タンクを立てた状態では温度センサーが薬液に触れないため、スティック撹拌では時間補正が無効になります。温度管理を機械に預けたいなら、横に寝かせて回してください。
ロータリー処理の効きめは薬品の量に出ます。反転撹拌では液面がフィルム全体を覆う必要がありますが、横に転がすなら底に溜まった薬液が回転で全面に触れる。従来比で最大 60% の薬品削減というのが、メーカーの示す数字です。
| タンク | 110/135/120/220/127 | 4×5 / 9×12cm | 5×7 | Paper 5(8×10) |
|---|---|---|---|---|
| 1本用 PTP114 | 250ml | — | — | — |
| 2本用 PTP115 | 350ml | — | — | — |
| 3本用 PTP116 | 450ml | 350ml | — | — |
| 5本用 PTP117 | 650ml | 500ml | 350ml | 250ml |
| 8本用 PTP118 | 950ml | 750ml | 500ml | 400ml |
1回 350ml で 135 が 2 本。C-41 のキットを 1L 作れば、それだけで何回分になるかは計算するまでもありません。
モノクロだけの機械ではありません
AGO に最初から入っているプログラムは、モノクロに留まりません。
- B&W — 汎用、Cinestill DF96(モノバス)
- C-41 — Bellini / Kodak / Fuji Hunt / Tetenal / Flic Film / Cinestill / Arista・Unicolor / Adox / Jobo
- E-6 — Arista / Cinestill D6 / Jobo・Ilfocolor / Adox
- ECN-2 — Cinestill / Jobo・Bellini / Flic Film / Jobo・Ilfocolor
- RA-4 — Arista(カラープリント)
薬品ブランドごとにプログラムが分かれているのが、この機械の性格をよく表しています。「C-41」という一括りではなく、その薬品の指定する工程と時間が入っている。新しい薬品が出れば Wi-Fi 経由でプログラムが追加され、自分で工程を組んで保存することもできます。
対応フォーマットも 135 と 120 だけではありません。127 と 220 は標準の Paterson リールのまま、110 は専用の REEL 110 を足して。さらに Vintage Visual 製のリールを揃えれば 4×5・5×7・9×12cm・8×10 のシートフィルム、Super 8 のシネフィルム、そして RA-4 のカラープリントまで、同じ 1 台で処理できます。

当店がこれを扱う理由
日本の現像環境は、この 10 年で静かに厳しくなりました。ミニラボは減り、カラーの外注は単価も納期も上がっています。かといって自家現像に踏み出すには、恒温槽と温度計と、失敗して溶かしたフィルムの授業料が要る。
AGO が変えるのはそこです。温度管理という一番面倒な工程を、機械が時間で吸収してくれる。 現像所に出すか、全部自分でやるかの二択だった間に、「自分でやるが、精度は機械に任せる」という選択肢が挟まります。
当店では AGO 本体(Paterson 2本用タンク同梱版/本体のみ) に加え、各種リール、加工済みファンネル、Paterson のタンクやアクセサリーまで、日本国内向けに揃えてお取り扱いします。
保証とサポート
- 24ヶ月保証 — 当店でご購入いただいた日から 2 年間。
- 日本語でのお問い合わせ対応 — 導入前のご相談も、購入後のトラブルも当店で受けます。
- 販売・発送は 日本国内向けです。
これから
初回入荷分は現在手配中です。AGO Film Processor(タンク同梱版)、本体のみの版、各種リールや Paterson のタンクまで、商品ページは先行して公開しています。構成に迷ったらお気軽にお問い合わせください。入荷のご案内は、当ニュースと Instagram でお知らせします。
「暗室はないが、現像はしてみたい」という方にこそ触ってほしい機械です。
よくある質問
- カラーネガの自家現像で 38℃ を保つにはどうすればいいですか?
- AGO フィルム現像機とは何ですか?温度を管理しないのに現像できるのはなぜですか?
- 手持ちのパターソン現像タンクで AGO は使えますか?
- ロータリー現像にすると薬品はどれくらい節約できますか?
- AGO は 4×5 や Super 8、RA-4 プリントにも使えますか?
そのほかの疑問はよくある質問にまとめています。
出典 — 本記事の仕様・数値は、メーカーである Vintage Visual OÜ の製品資料および AGO Film Processor 公式ページ、AGO wiki(機体仕様) に拠ります。本体寸法 88 × 136 × 170 mm、質量 556 g、防塵防滴 IP56、電源は 18650 リチウムイオン充電池 2 本、USB-C 5V / 3A。薬液量はメーカー公表の最小薬液量チャートによります。